横綱朝青龍関が、時津風部屋での出げいこで小結豊ノ海関にプロレスの技をかけた結果、豊ノ海関がケガをして入院したと報道されています。
もし報道に間違いがないとすると、被害をうけた側がうったえれば、傷害罪などの犯罪に問われないでしょうか?
大相撲で規定のとおりに相撲をとった場合や、けいこで常識的に考えられる相撲技をかけた場合に相手がケガをしても、それは刑事罰の対象外であるはずです。
しかし、けいこにあたって、ヘッドロックをかけて首をねじり、相手が崩れおちたところに体重をかけて押しつぶした−という報道のとおりの方法だったとすると、相撲技としての常識を超えていると思います。
時津風部屋では横綱に猛抗議しているそうですが、刑事責任を追及してもいいのではないかと感じています。
その画面を実際に見ていませんし関係者の話を聞いていませんので確信は持てませんが、ご質問の内容を仮に前提すると問題があります。
もともとスポーツ競技で相手を死傷させても刑事責任を問われないのは、それが正当行為(正当業務行為:刑35)に該当するからであり、
「正当」であるためには当然の前提としてルールの遵守が必要です。法的には、「社会的に認められたルールを守って行なう行為であるから
正当行為である。」と評価されるのです。
ルールはこの場合相撲の決まり手として認められているかどうかにより決まりますから、決まり手にないすなわち相撲のルールにない行為は
「正当」行為ではありません。刑事責任は免責されません。ボクシングでいえばルールどおり殴り合いで相手を死傷させてもボクサーは刑事
無責任で、レフェリーがテクニカル・ノックアウト(TKO)を適切に宣しなかったのが問題となるのと同じです。ボクサーがルールにない足蹴り
(キックボクシングでないときです)や頭突きや体当たりで相手を死傷させれば刑事責任を問われます。
民事責任も同様で、お互いにルールに基づいた予測可能な「危険の引き受け」(assumption of risk)を行なって、承知の上ですから
損害賠償責任(民709)を負いませんが、その範囲を超えれば危険の引き受けを行なっていませんから、損害賠償責任が発生します。
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